老人ホームで行われるイベントとその役割について

老人ホームでは、様々なイベントが行われています。施設ごとに工夫を凝らして、それが特色となっているところもあります。では利用する入居者にとって楽しめる、人気の高いイベントには、どのようなものがあるのでしょうか。

それらのイベントを行う目的や、レクリエーションとの違いなどについても、確認していきましょう。

季節を感じられるイベント

春はお花見やひな祭り、夏には七夕など季節を感じることのできるイベントは、入居者にとって大きな楽しみになることでしょう。春や夏には、暖かい気候を利用して、外へ出る機会が増えていきます。普段は介護状態などによって外出することが少ない入居者も、このような機会を作ることで、職員の手を借りて外出するのが楽しみになるかもしれません。

盆踊りなどは、車いすでも参加しやすいように工夫されているところが多いので、安心です。運動会も、楽しみなイベントの1つですね。紅白に分かれてパン食い競争や玉入れなど、いろいろな種目に挑戦することができます。

体を動かせる方にとっては参加する楽しみがありますし、寝たきりの方も一緒に応援したり競技を見ることによって、その場の雰囲気を楽しむことができるでしょう。冬にはクリスマスやお正月、節分などのイベントが目白押しです。

みんなでツリーを飾ったり、ケーキやプレゼントを用意したりするのも楽しいですね。お正月には、初もうでや新年会など、様々なイベントが企画できます。

施設の特色が活かされるイベント

誕生会などのイベントは、毎月行われることになりますので、月ごとに工夫を凝らして開催されています。参加者の体調や、興味のあるものなどを考慮して企画されていますので、安心して参加しながら生活に張りが生まれることにもなるでしょう。

誕生日は、何歳になってもうれしいものです。祝ってもらう人も祝う人も、みんなが幸せになれる定番のイベントといえるでしょう。料理を工夫したり、誕生日カードやプレゼントを用意したりすることで、楽しい時間を過ごせるように考えられています。

時には、サプライズの演出などもあるかもしれません。カラオケ大会やバーベキュー大会など、施設ごとに特色を活かしたイベントも多く企画されています。中には日本舞踊や大道芸人などを施設に招いて、鑑賞できるイベントを行っているところもありますし、まさしく千差万別といえるでしょう。

家族や地域が参加できるイベント

イベントというのは、施設の職員と入居者だけのものではありません。入居者の家族や、地域の人たちも参加して行うイベントも数多くあります。ひな祭りは、近くの幼稚園の園児たちが参加して、入居者と触れ合ったりダンスや歌などを披露してくれたりする楽しいイベントです。

さらに施設では、男性の入居者も楽しめるように工夫されています。母の日のイベントには、職員が感謝の手紙やメッセージカード、カーネーションなどをプレゼントします。食事会には家族を招待できる施設も多くなっていますので、家族にとっても、両親に感謝の気持ちを伝える良い機会になるでしょう。

夏祭りは、家族だけでなく地域の方たちも招待して、みんなで盛り上がることができるイベントです。金魚すくいやかき氷、焼きそばの屋台など、高齢者が童心に帰ることのできる出し物が用意されています。

イベントの目的

老人ホームで行われるイベントには、いくつかの目的があります。まずは体の機能を維持し、向上させるためです。イベントには、室内で行うものから外へ出て歩いたり簡単な運動をしたりするものまで様々なものがあります。

イベントに参加して体を動かすことによって、運動量や筋力の低下を予防し、身体機能の向上を目指すことにもつながります。次に脳の活性化も、大きな目的の1つです。ゲームやクイズのように頭を使うものや、折り紙などの指先を使う作業は、脳に刺激を与えます。

認知症を予防したり遅らせたりする効果が期待できるのです。さらにイベントは、他者とのコミュニケーションを促進することにも効果的です。特に老人ホームへ入居したばかりの頃は、周りはみんな初めての人ばかりということがほとんどです。

イベントを通じて他の入居者や施設の職員たちと打ち解け、どんな人かわかることで、緊張も解けて豊かな生活が送れるようになることでしょう。地域の住民や幼稚園、小学校などの子供たちと触れ合う機会が持てることも、暮らしに張り合いをもたらすことにつながります。

このようなイベントに参加できるということは、老人ホームの良い点といえるでしょう。もちろん体調がすぐれなかったり、気持ちが乗らないようなときには、参加しなくても問題ありませんので安心して過ごすことができます。

レクリエーションとの違い

イベントが季節や誕生日などの施設全体で行う「行事」であるのに対して、レクリエーションは普段の生活の中で頻繁に行っているものだという違いがあります。レクリエーションには、ストレス解消や疲労回復などの目的があります。

体を動かすものとしては、ラジオ体操やパターゴルフ、風船バレーなどがあるでしょう。無理のない範囲で行えて、参加しやすいものが取り入れられています。指先や手足を使うレクリエーションには、料理があります。特にお菓子作りは指先の細かい作業が必要になりますので、完成した時の達成感も大きくなるでしょう。

作る楽しみと食べる楽しみを、両方味わえるのもうれしいです。しりとりやクイズなどの頭を使うレクリエーションも、人気があります。言葉を重い浮かべたり考えたりすることで、脳の刺激になりますので、認知症の予防も期待できます。

バザーの開催は入居者それぞれが得意なものを、展示したり販売したりするレクリエーションです。得意な分野を活かすことができますし、購入してくれた人とのコミュニケーションにもつながりますので、新たな自分を再発見できる機会になるかもしれません。

工夫されているイベントの数々

老人ホームのイベントは、入居者の身体の状態に様々な配慮をしながら、工夫を凝らして企画されています。健康の維持につながると同時に、家族や地域の人たちとのコミュニケーションを促進する場にもなります。体調がすぐれない時は無理をせず、楽しみたい時には積極的に参加することで生活に活力が生まれ、笑顔になる機会も増えることでしょう。